RPA開発は誰がするの?失敗しないために重要な2つのポイント(vol.6)

2021.12.27

社内業務の自動化進んでいますか?様々な企業で導入が進むRPAですが、思うように開発が進まず導入が頓挫してしまうケースや、開発したロボットが安定稼働できずに使われなくなってしまうケースが見受けられます。RPA開発を誰が担当するか。実はその決定がRPA導入成功と失敗の分かれ道となってきます。本記事では、RPA開発者を決定する際に失敗しないために重要な2つのポイントについて解説いたします。

RPA開発って簡単?誰でもできるの?

RPAを特集した書籍やインターネットの記事で、RPAは画面操作を記録させたり、開発ツールで処理を組み合わせたりするだけで、誰でも簡単に開発が行えるという謳い文句をよく見かけます。製品によっては、人のパソコン上での操作を記録して、自動化ロボットを開発してくれる機能を持ったものがあります。しかし実際のところ、その機能だけで開発ができるものは、毎回決まって同じ画面が表示されるものやシンプルな操作に限られます。業務の完全な自動化を目指す際は、条件判断や処理の繰り返しを組み合わせる必要があり、思ったよりも簡単に開発できないのが実情です。

ただ、RPAの開発ツールは、ソースコードを極力書く必要がない、ローコード開発ツールとして作られている製品が多いようです。JavaやCのようなソースコードの記述が必要なプログラミング言語を用いた開発と比べると、RPA開発は比較的とっつきやすく、理解がしやすい印象があるでしょう。RPA導入の際は、開発者に向けて開発に関する教育をしっかりと行えば、ある程度の業務の自動化が実現できるレベルまでの育成はそこまで難しくはありません。

開発者の選択に失敗しないためには

RPAを用いて自動化を行いたい業務はどのようなものあるのでしょうか。RPA導入にはコストがかかります。そこでRPA導入の効果をより実感しやすい業務を対象としましょう。例えば大量のデータを取り扱い、定型ルールの基で繰り返し処理を行うような、効果時間が大きい業務が自動化のターゲットとなるはずです。大量のデータを取り扱う際は、いかに止まらず、安定して処理することができるかが非常に重要となります。頻繁に止まってしまっては業務が滞ってしまいますし、自動化したことによりその業務にかける人員を減らしてしまっているような状況ではいけません。またロボットによる自動処理が何らかの影響で停止し、復旧が見込めないような状態に陥ってしまった場合、人の手による業務のリカバリーを少人数で行わなければならず、業務の担当者は非常に苦しむでしょう。そのような事態を避けるために、安定稼働がマストとなるような自動化案件については、高レベルの開発者を担当させることが必要となります。

また、RPAによる導入効果が大きい業務は、処理の手順が多く、ルールも複雑になる傾向にあります。未熟な開発者に開発を任せた場合、開発は難航し、最終的には頓挫してしまうこともあるかもしれません。よって自動化したい業務の複雑度や安定稼働の必要性等を考慮した上で、どの程度の難易度になるかを正しく判断しましょう。そして問題なく開発をすることができる、適切なレベルの開発者を割り当てることも重要となってきます。以下ではRPA開発を失敗しないために重要な2つのポイントについて解説いたします。

失敗しないためのポイント①RPA開発案件の難易度を明確にする

RPAの開発を開始する前に難易度の判定をしていますか?難易度判定なしで開発に着手しているケースが多く見受けられます。難易度判定をするためには判定の基準を定義していく必要がありますので、対象となる項目の例をいくつかご紹介します。

・業務の手順数
人の手で作業する際の手順の数です。操作の手数が多ければ多いほど開発する際のボリュームも大きくなり、難易度が上がる傾向にあります。

・作業にかかる時間
処理の手順数が多いとその分処理時間も長くなる傾向にあります。それ以外にもシステムへの登録に時間がかかるケース等、処理が重く時間がかかるような場合、待機処理やリトライ処理を入れないと処理が安定しないことが多くなります。よって作業時間が長いものは開発の難易度が高い傾向にあります。

・対象となるデータ数
1回の実行で対象となるデータの数です。データ数が多い場合、繰り返し処理を行う作りにする必要があります。途中でエラーが発生してしまうケースや、完全に止まってしまうケース等、例外的な動きをした際を考慮する必要があります。安定して稼働するRPA開発を目指す場合、難易度は高めになります。

・分岐の数、複雑度
定型ルールによる処理の分岐回数や枝分かれする際の複雑度です。条件による分岐が多い場合、自動化ワークフローは複雑化します。特に細かく枝分かれする分岐は、1つの修正が前後の分岐に影響することもあるため、難易度はかなり高めとなります。

・オブジェクトがRPAツールで認識できるか
RPA開発ツールで自動化する対象がオブジェクトとして認識することができない場合、開発は非常に難しくなります。そのような場合は、画像認識機能やキーボード、ショートカットキーの操作で対応することが求められるため、処理を安定させるには工夫が必要となり、高難易度となります。

失敗しないためのポイント②RPA開発者のレベルを見える化する

RPA開発者のレベルを判断する上でおすすめしたいのが、開発者教育と開発者認定制度を紐付けた仕組みを作ることです。例えば、開発者レベルを初級、中級、上級の3段階で定義して、それぞれの認定を得るために、レベル毎に必須となる教育を受講し、社内認定試験をパスしなければならないルールを設けます。認定制度を活用することで、開発者のレベルが見える化され、各レベルの開発者が無理なく開発ができる案件を明確にできます。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は「RPA開発は誰がするの?失敗しないために重要な2つのポイント」と題し、RPA開発の現状と、開発を成功させるために考える必要のあるポイントについて解説しました。RPA開発を失敗させないためには、自動化したい案件の難易度を明確にした上で、適切なレベルの開発者に開発を任せることが重要となります。それを実現するためには、RPA開発案件の難易度を判定する仕組みや、開発者のレベルを定義する認定制度を構築していく必要があります。

仕組みを構築していくことは大変ですが、RPA導入を成功させるために中長期目線で考えるとプラスとなってくるのではないでしょうか。RPA開発を諦めかけていたあなたに、再度挑戦するきっかけになれたら幸いです。みなさまのRPA開発が上手くいくことを祈っております。

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