RPAへの期待と現実、ロボットにも教育を!(vol.12)

2022.01.17

RPAというテクノロジーが市場に出てからかれこれ5年という歳月が経ちました。多くのお客様が業務の生産性向上、効率化、自動化でRPAに期待をして取り組まれてきました。
しかし、RPAの導入がうまくいっている企業とうまくいっていない企業で差が出ています。この差は一体何でしょう。ロボットを導入すれば課題が解決するというものではないようです。
本記事では人と同様、ロボットにも教育をし、ロボットを成長させていくためのRPA成功の鍵についてご説明します。

RPAへの期待と現実

RPAというテクノロジーが市場に出てきたとき、以下の4つの悩みを抱える企業にとって大きな期待がありました。

  1. 同等のPC作業が多く、そこに多くの時間が取られている企業
  2. 人材不足、コスト増などで生産性を上げなければならない企業
  3. 社内システムが複雑で追加開発が困難な企業
  4. 情報システム部門が脆弱で、現場の要求に迅速な対応が困難な企業

社内システムで実装している機能は、操作性を含めて個別要件を取り入れると開発コストが増大になってしまいます。よってきめ細かい要件までシステム化できていないケースがでてきます。また、システムが分断されているため、一連の業務プロセスを行うにあたり、複数のシステムに同様のオペレーションを強いられるケースがあります。
このようなケースでシステムオペレーションの効率化、自動化を進められるテクノロジーとしてRPAは期待を集めました。
そしてビジネス環境の変化が加速し、DX (デジタルトランスフォーメーション) やデジタル化といったキーワードが登場しました。スピーディーかつ柔軟にデジタルデータを扱い、業務の生産性を高める手段としてRPAは期待されたと思います。

たくさんの期待から既に多くの企業がRPAに取り組んできました。しかし、利用しはじめたものの利用範囲が特定の部署・社員に限定されていたり、ロボットが置き去りにされて稼働していない企業が多いのではないでしょうか?期待が大きかった分、その期待に応えられないと見切りをつけた企業も多かったはずです。

RPA ロボットの限界を知る

RPAのテクノロジーの仕組みを理解するとロボットの限界は自ずとわかってきます。ロボットを作成するにはロボットにどのような操作をさせるか、RPAに設定しなければなりません。即ち、人が行うシステムオペレーションをロボットに教え込む必要があるので。人はシステムオペレーションを行う場合、データを見てどのシステムにどのようなオペレーションを行うか判断します。それを教え込むとなると、どのようなデータを取り扱うかを明確にし、判断基準が全て揃えなければならないのです。それができれば、RPAは有効に作動しますが、ビジネス変化が激しい今の時代にそれは可能でしょうか?

また、RPAで定義したシステムの改修が入ると、状況に応じてRPAの変更が発生します。ロボットは教えたシステムオペレーション以外は動きません。また、教えていないことをロボットが勝手に行うことはありません。効率化、自動化を担うRPAですが、魔法の杖ではなく、その限界を理解した上で使いこなすことが重要なのです。

RPA ロボットにも教育を!ロボットの限界を拡げる

RPAには限界がありますが、教えたことはオペレーションミスなく実行されます。
例えば大手企業の導入事例では、導入したロボットには社員番号が振られており、ロボット人事部という組織が存在します。RPAのロボットは人ほど賢くありませんが、忠実なロボットであり、人のように扱うための教育が重要となります。

教育とは、ロボットが処理できないケースにその対応をしっかりと設定することであり、それを施すとロボットができることが増えていき、ロボットは成長します。最初はロボットがうまく機能しないケースが多く、手がかかるかもしれません。新入社員よりも手がかかるという方がいるかもしれません。しかし、手をかけることで優秀な社員になっていきます。温かい目で見守ることも大事です。

また、ロボットを社内システムオペレーターとして見るのではなく、自分の秘書として扱ってはどうでしょうか?現代の情報化社会では非常に多くの情報が溢れています。その情報を活用してビジネスを推進し、情報の収集、情報の取捨選択が日々必要になってきます。日々、発生する業務をロボット秘書に任せることができるのではないでしょうか?

実はまだロボットが活躍できる場所が多々眠っていると思います。みなさんの仕事を棚卸してみてはいかがでしょうか?

まとめ、RPAが自動学習?!これからのRPAの期待

RPAの導入がうまくいっていない企業の中では、RPAに対して期待を裏切られたと思っている方が多いのではないでしょうか?
今回は、ロボットの限界を知り、人と同様、ロボットにも丁寧に教育を行うことでまだ活躍できる場所があるのではないか、と思っています。

現在、RPAベンダーはAIに取り組んでいます。AIも学習させる必要がありますので、どちらにしても“教育”が必要になりますが、他で教育したモデルをそのまま利用することができるようになると、自社が教育する必要がなくなるかもしれません。AIでデータのゆらぎなどが吸収でき、「一を聞いて十を知る」が如く自動判断できるようになるとロボットに教育する量が大幅に減り、賢いロボットになるかもしれません。

これからのロボットの進化によってはRPAの活躍の場が拡がるのではないでしょうか?

また、ロボットを使いこなすという点では自分の秘書として、多くの仕事を教えこむことで優秀な秘書として活躍するはずです。従来の業務の生産性を上げるだけでなく、データを活かした新たな発想のきっかけを与えてくれる存在になるかもしれません。

まだまだRPAに期待していいのではないでしょうか?

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